。。。気が付くといつの間にか朝になっていた。朝の７時だ。いつものようにベットから飛び起きて洗面所で顔を洗う、、、きのうはどうだったっけ？？などと歯磨きしながら思う。でもぜんぜん思い出せない、、、「まぁ〜いっか、、、」などとつぶやきながら身支度を済ます。もって行くものを用意して鞄に入れたらあとは朝食を食べて学校だ、、、と母親がいれば当たり前な朝の光景だが俺のところはおばさんが作り置きしてくれた朝食を冷蔵庫から取り出してレンジに入れてチンするだけ、、、なんとも味気ない、、、「ほお〜らぁ。。。おきなさいよぉ〜」と言ってわざわざ起こしにやってくる彼女もいなければメイドロボみたいな便利な機械もない、、、（それに主役なのに寝坊してばっかだったり、腕の良い板前くらい料理がうまかったりはしない、、、）
洋一「行って来ます。。。」
返事が帰ってこないと知りつつ、、、誰もいないはずの家に向かって言う。
。。。誰も、、、いないよな。。。
なぜか俺は何か一抹の不安が過ぎった、、、

家を出たのは7時半過ぎ、、、川沿いを沿って橋を渡れば後は道なりで学校だ。まぁ〜ゆっくり歩いても遅刻しないで行けるので鼻歌でもと思ってた矢先、、、
洋一「うわぁ、、、」
俺は後ろから"ドン"と押されたので蹴躓いて転びそうになった。。。（あぶねぇなぁ〜）
マリレイ「おっはよう！洋一ィ〜！！」
俺は目を疑った、、、知らないはずの風変わりな少女が自分の名をしかも幼馴染くらいの言い方で挨拶するではないか、、、
洋一「マリレイ！いきなり後ろから押したら危ないだろうが！！」

俺はすぐさま怒鳴り返したが、、、あれ？何で俺、彼女の名前知っているんだ？？。。。だがすぐにきのうの記憶がどどどっと蘇ってくるのを感じた。。。
マリレイ「記憶の混乱が起きているようね。。。まぁ無理もないわ。なんたってきのうから今日の朝までに色々と万能鍵でいじっていたから。。。」
くすくすと笑いながら言った。
洋一「鍵で何していたんだよ。」
マリレイ「きのうはチーズフォンデュしかなかったからね。朝食の調達と、、、洋一の家から半径一万キロくらいの人々の記憶の挿入、あとは人々の視覚の調整などなど。。。」
きのうはアレ（チーズフォンデュ）しかなかったので朝飯は仕方ないとして、、、半径一万キロの範囲で生活している人の記憶の挿入だとか、視覚の調整って。。。
マリレイ「鍵でいじっている合間、こっそり洋一を観察してたんだけどさぁ〜」
洋一「なっ、、、なんだよ。」
俺の寝起きから家を出るまで何を観察していたというのか、、、まさかいけないことまでも。。。
俺は固唾を呑んでマリレイの次の言葉を待っていると。。。

マリレイ「。。。ふ〜ん。。。」

。。。
。。。。。。
。。。。。。。。。。。（何もったいぶってんだ？）
。。。。。。。。。。。。。。。。。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


マリレイ「。。。普通だったなぁ。」
。。。と、思わずずっこけてしまった。。。
洋一「なんなんだよぉ！」
マリレイの言葉に翻ろうされている自分が情けなく見える。。。
マリレイ「それと大事なのは洋一とこれから学校へ行くのにそれらしく見えないとね。」
洋一「なんだよ。それらしくって。。。」
俺の疑問にすぐさま答える。。。
マリレイ「あなたには私が普段どおりにしか見えないけどね。ほかの人から私を見た場合、洋一の通っている学校の女生徒にしか見えないはずなのよ。」
。。。そして都合が良いことにきのう夕食を作りに家に来るはずだったおばさんと目が合った。。。
おばさん「あら、洋ちゃんたち。おはよう。これから学校へ行くのね。いいわねぇ洋ちゃん彼女連れで。そういえば留学生だったわね。あなた。確か名前は”マリレイ”さんだったかしら。家事のことはよろしくお願いね。」
そういうとおばさんはそのまま俺達とは反対方向の商店街の方へ行ってしまった。。。
洋一「そういうことか。。。」
マリレイ「そう。」
洋一「まったく疑ってるしぐさとかなかったぞ。。。」
おばさんのマリレイに対するごく普通の態度に困惑しながらも。。。何か一番大事な事柄を思い出して。。。
洋一「そういえばお前。。。なんで俺に着いてくるんだ？？」
マリレイ「もう言ったと思うけど、、、”洋一とこれから学校へ行く”って。」
洋一「なっ。。。なんだってぇぇぇ！！！」

しっ、、、しまったぁぁぁ〜

。。。にしてもマリレイが学校へ行くなんて駄目に決まっているじゃないか！だいたい転校手続きやら留学手続きやら出来ていないだろうに、、、それともうひとつ。。。
洋一「こんなところを委員長（下郡茜さん）に見られたら元も子もないぞ！」
マリレイ「大丈夫だぁ〜って。」
このマリレイの自信は俺から見れば何の根拠もないように見えるのだが、、、
マリレイ「鍵の力であの子には私達が”兄妹”か”親戚”にしか見えないもの。」
。。。鍵かよ。。。俺にとっては悪夢の鍵なのに、、、マリレイには都合がいいようにできるんだな、、、と半ば呆れ返っていると、、、学校の校門が見えてきてしまっていた。。。
洋一「げっ！もうきてしまった。。。」
マリレイ「慌てる必要はないわ。普通に登校すれば無問題だから。。。」
（いつもながら気安く言ってくれるよなぁ、、、俺にしてみればドキドキだって言うのに。。。）
洋一「それにしてもお前、どうして学校へ行きたいんだ？」
、、、俺が委員長と相思相愛になるまで２週間、、、その間、結果が出るまでマリレイは俺の家で居候していればいいだけのことだ、、、そうだ！マリレイの学校へ行きたい理由が知りたいぞ！
マリレイ「うんとねぇ、、、洋一の側にいればアドバイスが容易だし、、、洋一の学校の雰囲気を肌で感じていたいし、、、彼女を間近で見てみたい。。。」
洋一「鍵を使えばいいんじゃねぇの？」
万能鍵を使えば扉を開けて教室の様子とか彼女の顔とか見れるじゃん、、、と俺は思ったが、、、
マリレイ「そうしてもいいんだけどさぁ〜。あたしの顔が突然現れたら教室にいるみんなはどうなると思う？」
洋一「どうなるか、、、だってぇ〜。。。あっ！！」
マリレイ「わかった？学校中が幽霊騒ぎになって大変なことになるわよ。」
確かにその通りだ。
マリレイ「もう一回言うけど普通に登校すれば無問題なんだから。。。」
結局のところマリレイの言うとおりにしなくてはならなくなってしまった。。。