今までの俺はただ惰性で生きてきたといっても過言ではない。。。学校で友人とふざけあったり。。。だべっていたり。。。遊んでいたり。。。ごく当たり前な毎日を過ごしていた。。。そんな俺がいつだったろうか。。。女の子が気になるようになったのは。。。それが委員長の下郡茜だった。。。彼女は気品のある顔立ちをしていてきれいだった。。。それだけではないクラスの委員長として俺のいるクラスのために一生懸命やってきている。。。そんなところに俺は惚れ込んだんだろうと思った。。。想うことだけだったら良かったのに。。。しかし今、こともあろうか”鍵の呪い”によって委員長が好もうが好まざるに拘わらず２週間の内に恋を成就しなくてはならなくなったのだ。。。

洋一「もうそろそろだけど。。。おばさんが来る頃なんだ。。。ちょっとだけ出て行ってくれないか。。。」
。。。７時近くになったのでおばさんが来ることを心配して俺はマリレイに言った。
。。。すると。。。
マリレイ「それなら心配しなくてもいいわ。。。おばさん来ないから。。この家の”鍵”を開けてちょっとだけ素行をずらしたの。。。」
洋一「素行をずらしたって。。。じゃあ晩飯誰が作ってくれるんだよ！」
マリレイ「晩御飯は私が作るわ。。。腕には自信があるから。。。」
そう言うとマリレイは台所へ行って冷蔵庫を物色し始めた。。。

しかしすぐに、、なにやら困惑したように俺に聞いてきた。。。
マリレイ「ねぇ。。。もしかして。。。材料買ってないとか。。。」
洋一「あっ。。。！！」
そういえば、、、いつも材料はおばさんが自分家からわざわざ持ってきてくれるので冷蔵庫の中はいつもからだったんだ。。。
マリレイ「、、、でも。。。まぁいいわ、、、取り寄せればいいだけ出し。。。」
俺はマリレイの今の言葉にいやな感じをしたので。。。
洋一「だめだよぉ〜。鍵使って物を取り寄せようなんて泥棒と同じじゃないか！！」
俺が怒ったように言うと、、、マリレイは困り果てたように。。。
マリレイ「じゃあどうするの？このまま晩飯抜きで過ごすつもり？？」
洋一「。。。ああ〜んもう。。。わかったわかった、、、好きにしてくれ！！」
。。。俺は晩飯抜きで過ごすことを考えていたが、、、今まで晩飯抜きで過ごしたことがなかったのであえなくマリレイの材料の取り寄せに同意してしまったのであった。。。
マリレイ「ふふふ〜ん。。。これで材料がそろったわ。。。」
マリレイは台所に向かうと鼻歌を交えながら早速調理し始めた。。。俺は恐る恐る台所の様子を伺うと。。。
洋一「なんだぁ〜？？チーズを鍋に入れただけじゃないか！」
鍋には白ワインで溶かしたチーズがあるだけで食材となるパン、ブロッコリー、ソーセージなどは皿の上に置かれたままだった。。。俺はびっくりしたように言うと。。。マリレイはくすくすと笑いながら。。。
マリレイ「なぁ〜んだ。。。洋一は知らないんだ。。。チーズフォンデュ。。。」
俺はチーズなんてものはファーストフードで食べたチーズバーガーくらいしか知らなかったので、、、
洋一「なんだよう、、、チーズフォンデュって。。。」
と、、、マリレイに聞かざるを得なかった、、、
マリレイ「元はスイスの山岳地帯に伝わる郷土料理なんだけどね。白ワインで溶かしたチーズにパンなどの食材をフォークに刺してかめながら食べるんだけど、、、日本人にはなじみ薄いかもね。。。」
洋一「日本で言えば、、、”もんじゃ焼き”か”お好み焼き”みたいなものか？？」
マリレイは不思議そうに。。。
マリレイ「、、、日本料理のことはあまり知らないけどさ、、、洋一の言う"もんじゃ焼き"とか"お好み焼き"とかも鍋で作るの？？」
洋一「、、、いや、、、違うかも。。。」
俺は言わなきゃ良かったとあとで後悔した。。。
。。。そして程なくチーズフォンデュは出来上がり、俺はテーブルに置かれた白ワインで溶かしたチーズ鍋にパンをフォークで刺してチーズを絡めながら食べてみた。。。すると。。。
洋一「うっ、、、美味い！！」
マリレイ「うふふふ、、、」
俺は目からうろこがこぼれたように涙した。「こんな美味い料理があったんだ」と、そして家族団欒の日々を思い出した。。。マリレイは俺を見ながらくすくすと笑うだけだったが。。。こうして、マリレイと出会った一日は過ぎていった。。。