このあとマリレイは俺に”鍵”に付いてとどうして”鍵”が俺と同化したかについて話を始めた。。。
マリレイ「まずは”鍵”についてだけど、、、この”鍵”はね。どんなものも開けることが出来る”万能な鍵（マスターキー）”なの。。。」
洋一「えっ！！」
万能鍵（マスターキー）か、、、そんなものがこの世にあるのか。。。呆気を通り越しているので俺はマリレイの言葉の言いなりになったような感じがした。
マリレイ「例えば、、、あなたの心の中だって開けることが出来るのよ。。。」
マリレイはそう言うと俺の額に自分の”鍵”を押し当てると”鍵”が額を貫き「カチャッ」と音を立てると引き出しみたいなものが飛び出してきた。。。

洋一「なっ、、、なんなんだ！！」
マリレイ「ふ〜ん。なるほど、、、今の私に対して恐怖と困惑があるみたいね。無理もないわ。だって普通の日常を過ごしてきたあなたにとっては信じられないことだものね。。。」
マリレイは尚も話を続ける。。。
マリレイ「おや？あなた、、、片思いしてたの？？。。。どうして”鍵”があなたと同化したのか分かったわ。。。」
洋一「片思いって、、、あっ？！」
俺は隠しておきたい何かを見られてしまった気持ちになった。。。しかし、マリレイの”鍵”の力の前では逆らうことは出来ない。。。
マリレイ「、、、誰なの？言って御覧なさいよ。。。」
洋一「俺のクラスメートでクラス委員長している下郡（しもごおり）茜っていう子だ。」
なぜか。。。俺は簡単に白状してしまっていた。。。
洋一「。。。なぜ。。。？？」
マリレイ「これが”鍵”の力よ。他にも探し物を見つけたりとか。人の行動を変えることが出来たりとか。。。色々と出来るのよ。だから私を追い出して家の”鍵”全部かけても入ることができちゃうから無駄ってことね。あとね。私からこの”鍵”を取り上げようとしても無駄よ。」
尚もマリレイは話を続ける。。。
マリレイ「私そのものが”鍵”なんだから。。。私ごと持ってでないと。。。ここに見えてる”鍵”は実体はあってもビジョンみたいな物でしかないからね。試しに私から”鍵”を取り上げてみる？」
俺はマリレイから持っている”鍵”を取り上げてみた。すると握った感じから実体があるのは分かったが、、、なぜか指から”鍵”がすり抜けて掴めなかった。。。今更ながらマリレイが話していることが本当のことのように思えてきた。
洋一「話を戻すけど、、、」
まずはマリレイの話を信じよう、、、しかしどうして俺が”鍵”と”同化”したと言えるのか、、、知りたくなってきていた。
洋一「どうして俺が”鍵”と同化したと言えるんだ。それと委員長とどんな関係があるというんだ！」
マリレイは俺に何か催促するように言った。
マリレイ「あなた。。。手を出して御覧なさい。そして、鍵のことを思い浮かべてみるの。。。」
俺はマリレイの言うとおり鍵を思い浮かべた。（思い浮かべたのは自分の家の鍵だったか。。。）するとマリレイが持っている鍵と同様の鍵が姿を現した。マリレイは俺と同じく鍵を掴もうとするがどういう訳かすり抜けてしまっていた。。。俺はどういうことか解らず困惑しているとマリレイは遠くを見るように言った。。。
マリレイ「万能の鍵は二振りあって一つ。。。私の願いを叶うためにはどうしてももう一振りの鍵が必要だったの。。。でもね。あなたが偶然にも片方の”万能鍵”を手に入れてしまった。。。こうなったらあなたから”鍵”返してもらうしかない。でもそれには条件がいる。。。」
洋一「、、、条件。。。？？」
俺はマリレイの言う”条件”の先になにか言い知れぬ”恐怖”を感じるのだった。。。

マリレイ「その条件ってねぇ〜。片思いしている子と”恋人同士”になりなさいってことなのよ。。。」
洋一「ええっ！！」
俺が委員長と恋人同士だって？！無理に決まっているじゃないか？！そしてなんて厳しい条件なんだと俺は思った。。。委員長、、、彼女は２週間後には親の都合で海外へ飛び出してしまうのだから。。。
マリレイ「驚くことはないでしょ。。。恋人同士になれば良いのだから自分の思いを相手にぶつければいいだけじゃない。。。誠意を持って相手に接していれば必ず相手に届くものよ。。。」

事情を知らないでよくもそんなことが言えるなぁ。。。と俺は思った。（。。。でも俺の心の中を”鍵”で覗いたのだから分かっていてもいいはずだ。。。）俺は少しだけマリレイの言い方に気が触っていた。。。
マリレイ「私が思うにはねぇ〜。２週間もあれば十分恋人同士になれると思うんだけど。。。あの子誠実そうだし、、、きっと洋一のことを理解してくれると思うわ。」
洋一「なぜそんなことが言い切れるんだ！！それで俺の体から”鍵”が出て行くとでも言うのか！」
俺は少し声を荒げて言った。。。
マリレイ「そうね。。。恋が実れば自然に”鍵”があなたの体から出て行くわ。。。それとあの子の様子だと。。。あなたのことを気にかけていたみたいだし。。。あなたの心の中を覗いてよく分かったわ。。。」
洋一「じゃあ、、、もしこの”恋”が叶わなかったりしたらどうなるんだ。。。」
当然俺は言った。いくら彼女が俺のことを思っていても誠意を示したって叶わないことだってあるはずだから。。。するとマリレイは俺がそんな質問をするとは思わなかったらしくちょっと躊躇してから。。。
マリレイ「。。。。。。死ぬわ。。。あなた。。。」
マリレイは聞き取れるか否かくらいの小さな声でそう言った。。。
洋一「。。。えっ。。。しっ。。。なに。。。？？」
俺はマリレイが何を話したのかはっきりとは分からなかったが、マリレイの口から”死”という言葉を耳にしたような感じがした。。。そのことで俺とマリレイの間の空気が少しひんやりしたのは言うまでもない。。。
マリレイ「とっ。。。とにかく。。。恋人同士になればいいのよ。。。わっ。。。私もあなたを最大限バックアップするから。。。」
冷えこんだ空気の中でマリレイは俺を一生懸命慰めようとしていた。。。しかし俺は押し黙ったままだった。。。
マリレイ「ねぇ洋一。。。恋人同士にならなければ”死ぬ”って思っていない？。。。あなたが諦めなければそんなことなんて起きやしないわ。。。茜さんに告白して恋人同士になれば”鍵の呪い”なんてなかったことになるんだから。。。ねっ。。。残り２週間がんばろ。。。」
その言葉にようやく俺の口が開いた。。。
洋一「。。。分かった。。。マリレイ。。。俺はまずどうすればいい。。。？」
このときの俺はマリレイの言うことに従うしかなかった。俺の中に”万能鍵”がある限りどうにもならないと思ったからだ。。。猶予期間は２週間。。。それまでの間に委員長に告白して恋人同士になれば”鍵の呪い”が解け、俺はいつもの生活に戻れる。。。いつもとは違うか。。。俺の憧れでもある委員長が一緒になってくれるのだからこれほどハイ・リターンなことはない。。。ならば一生懸命努力してみるか。。。ただ待っているよりはよっぽどいい。。。こうして紆余曲折を経ながらも俺は委員長との恋を実らすため、自分の中から”鍵”を取り出すために努力しようと決意するのだった。。。